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注:NASAの報告書(7)は雲(霧)減衰量計算の係数として次の式を与えている。

Af=−1.347+11.152/f+O.06f−0.022T dB/km/g/m3

f:周波数GHz、T:温度℃

この式によれば、減衰量、温度、周波数の関係が分かりやすい。

 

気象研究所の報告では、釧路地方の霧水量の最頻値は0.5g/m3程度であり、このような霧が一様に分布している場合、距離10kmでの往復減衰量は約7dBである。気象研究所の報告書は、この減衰量は観測距離が20km程度であれば問題ないとしている。

波長8.6mm付近にある電波の窓では、大気による減衰(酸素と水蒸気)は約0.12dB/kmであり、大気による減衰量は観測距離が20km程度であれば許容範囲内である。

減衰量を主な理由として気象研究所の実験では8.6mm波が選定された。気象研究所の波長8.6mmの非降水雲観測レーダーを改造し、大型のパラボラアンテナを使用することによりシステム感度を上げ、近くの霧による減衰と探知距離拡大に対処した。

 

雨の場合、レーダー反射因子Z(mm6/m3)と降水量R(mm/h)の関係は、普通つぎの経験式で表される(9)。

Z=BRβ(普通の雨では、B=200、β=1.6)

パラメータBβは、気象用レーダーの波長(波長5cm)で経験的に求められたものである。Bβに波長依存性は無いとして、降水量1mm/h程度の弱い雨について試算すると、Z=200である。

霧の場合も同形の式を仮定し、釧路地区での経験的なパラメータ(波長8.6mm)を使うと霧水量W(g/m3)にたいしてZの経験式(2)(3)は次のようになるとされる。

Z=CW1.5(Cは0.02から1.2の間にあり平均するとO.15)

霧水量0.5g/m3の場合、Z=0.053となる。

 

レーダー受信電力PrはZとの間で、次のような式で結ばれる。

10log(Pr)=−K−20log(r)十10log(Z)

この式から、距離rにある霧粒集合による反射電力Prを測定してレーダー反射因子Zを計算する事ができる。Zが求まれば、前出の式を用い霧水量Wを推算できる。

 

視程(大気の混濁の程度を距離で表したものであって、地平線の空を背景とする適当な大きさの黒い目標を識別できる最大距離のこと)と霧水量を結びつける幾つかの公式がある。霧水量(雲水量)Wと視程との間には、Trabertの公式(1901)と、Weickmann(1952)等が提案した改良公式が知られている(4)。Trabertの式はつぎのものである。

V。瓩r/W

ここにV(m)は視程、Cは比例定数で普通C=5.8(Cは1919年、RichardsonがWagnerとConradのデータから求めたもの、この他KoehlerによるとC=6.1)、r(μm)は霧粒の

 

 

 

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